伊豆食べる通信 2024年04月号

「わかめ」

伊豆半島の豊かな海で、地域に根ざしたわかめの養殖に挑むのが、熱海市下多賀・魚光丸の石井亜図夢さんだ。石井さんは定置網や伊勢海老漁と並行して、冬季に漁獲を安定させるため、わかめ養殖を行っている。地元・戸又港は波が穏やかで、わかめがよく育つ環境。春になると干されたわかめが並ぶ光景は、地域の風物詩として親しまれてきた。

わかめ養殖は、細かな作業の積み重ねだ。胞子が付着した種苗糸を「種紐」に手で差し込む工程や、設置時の水深調整、毎日の間引き作業など、手間と愛情をかけて育てられている。しかし、ここ数年の海水温の上昇は、そんな努力を打ち砕くような厳しい現実を突きつけている。2023年の冬は水温が下がらず、設置の遅れや芽落ちが続発。数度のチャレンジも実らず、収穫ゼロという結果に終わった。

それでも石井さんは諦めない。「来年も挑戦します。やってみないと分からないから」と前を向く。アカモクなど他の海藻にも関心を寄せながら、新たな可能性を模索している。地域の人々は「わかめ、まだある?」と訪ねてくる。石井さんのわかめは、単なる商品ではなく、暮らしに根差した希望であり、信頼の証でもある。

「わかめができたよ」その一言が、どれだけ多くの人を笑顔にするか。海と向き合いながら、未来へ挑み続ける石井さんの姿に、心からの敬意を込めて応援を送りたい。

石井さんの獲った魚を買いたい、食べたい

魚光丸-uomitsumaru-

熱海市上多賀、長浜海浜公園北側駐車場より街中へ徒歩4分ほどにあるのが、「魚光丸-uomitsumaru-」さん。
漁師の石井さんが漁船と同じ名前の店舗で、土日限定でランチ営業しています。
メニューは、「海鮮丼」と「バラちらし」。石井さんが水揚げした新鮮な地魚を使用した美味しい丼が食べられます。提供する地魚は漁の状況にもよるので、季節ごとに旬の物を食べられるのが魅力です。

取材した時は、以前本誌でも特集した「熱海マス」、ブリ、ホウボウ、ヒラメ、チダイでした。

セットにすれば、サクサクで熱々の地魚のフライと小鉢がついてきて、ボリューム満点でさらに満足度の高いランチになります。

そして、店頭では魚の切り身や自家製の加工品の購入や、刺身の盛り合わせ、海鮮丼、ばらチラシなどをテイクアウトで注文することも可能です。テイクアウトは予約がおすすめです。

是非、お近くに来たら、石井さんに会いにお立ち寄りください。
本来なら、美味しいわかめも、ここで購入や食事ができます。来年度以降のお楽しみにしましょう!!

魚光丸-uomitsumaru-
住所:〒413-0101 静岡県熱海市上多賀225−4
Instagram:https://www.instagram.com/uomitsumaru
営業日:土曜日、日曜日 12時〜14時半